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コモディティコーヒーの醍醐味は『国』を味わうこと(前編)

コモデティコーヒーとは商品先物取引市場で取引されているコーヒー豆のことです。世界中で愛飲されているコーヒーのほとんとが『コモデティコーヒー』になります。コモデティコーヒーに関しては以前の記事で説明しました。

今回はコモデティコーヒーの醍醐味についてご紹介していきたいと思います。

コモデティコーヒーの醍醐味は『国』を感じられること

コモデティコーヒー最大の特徴は『国』によって味わいが異なることです。コーヒー豆のグレードなど、細かい部分での違いはあるものの、大まかな部分では産地、つまり『国』の影響を大きく受けているのが「コモデティコーヒー」といえるでしょう。

 

『国』によってコーヒーの味が違う?でもコーヒーの木はほぼ同じなんです

コモデティコーヒーは産出国によって味が異なります。ブラジル産やインドネシア産、メキシコ産やベトナム産など、さまざまな国がコーヒーを栽培しています。しかし、ほとんどの国で栽培されているコーヒーの木はほとんど共通しているのです。

コーヒーの木には種類があります。大きく分けると

 

● アラビカ種
● ロブスタ種
● リベリカ種

 

の3種類です。この3つのうち、アラビカ種とロブスタ種からはさまざまな派生品種が生まれています。それぞれの特徴を簡単にご紹介します。

アラビカ種

コーヒーといえばアラビカ種とも言われているくらいメジャーなコーヒーの木がアラビカ種です。特徴を一言で表現するならば「病弱な天才肌」。病気や霜、雨が少ない環境での栽培が難しい品種です。風味とコクが強く、さまざまな派生品種を生み出していることも特徴でしょう。

有名な品種としては

 

● ブラジル→ブルボン、カトゥーラ、カトゥアイ、ムンド・ノーボなど
● コロンビア→ティピカ、カトゥーラ、バリエダ・コロンビア
● インドネシア→スマトラ
● イエメン→モカ
● ジャマイカ→ブルー・マウンテン
● エチオピア→ゲイシャ

 

などが挙げられます。

ロブスタ種

アラビカ種が「病弱な天才」ならばロブスタ種は「強靭な努力型」でしょう。アラビカ種に比べて病気や過酷な環境下での栽培が可能な上、安定して収獲できるまでの期間が3年と短いことが特徴です。

カフェイン成分が多く、苦味や味のクセが強いため風味や味わいはアラビカ種に劣ると評価されています。ロブスタ種の欠点を強みに活かしているのがベトナムコーヒーです。フランスの植民地時代にベトナムで栽培されていたロブスタ種。欠点であるクセの強さを何とか活かせないかと試行錯誤が繰り返されました。統治していたフランス人領主が深煎り(フレンチトースト)して、バターやチョコレートなどの味の強いフレーバーを加えることで、アラビカ種にはない味わいを実現させたのです。

病気に強く、工夫によって美味しいコーヒーとして評価されるようになったロブスタ種は、まさに「強靭な努力型」のコーヒーといえるでしょう。

リベリカ種

19世紀末に発見され、20世紀のはじめどごろから生産されたのがリベリカ種です。アラビカ種に比べて酸味がなく、苦みが強いため全体的に味が劣ると評価されていました。しかし、近年の研究によりロブスタ種よりも味わいが上と評価し直され、徐々にではありますが知名度を上げています。

リベリカ種はコーヒー3大種の中でも果実の外皮が硬いため、病害虫の侵入を防げる特徴があります。またアラビカ種よりも低い緯度で栽培できるため、熱帯気候の東南アジアでも栽培されるようになりました。根を張る土壌条件に左右されずに安定した栽培量が期待できることから、リベリカ種への注目が集まっています。

コモデティコーヒーに使われているのは全種

世界に流通しているコモデティコーヒーに使われているのはすべての品種が対象です。もっとも流通量が多いロブスタ種はもちろん、スペシャルティコーヒーになれなかったグレードの豆がコモデティコーヒーとして流通していますし、リベリカ種もフィリピンやマレーシアなどのコーヒー豆取引品目に含まれています。

つまり、アラビカ種だからスペシャルティ、ロブスタ・リベリカだからコモデティという意味ではないのです。

 

コモデティコーヒーの国ごとの特徴

コモデティコーヒーはスペシャルティコーヒーよりも安価なため、普段使いのコーヒーとして親しまれています。スーパーなどで販売されている焙煎済みのコーヒー豆もコモデティコーヒーです。ここではコモデティコーヒー産出国ごとの特徴をご紹介します。

 

コモデティコーヒーの国ごとの特徴~中南米+α編

コーヒー産出国第1位のブラジルを含め、コーヒーの名産地が多い中南米。ドミニカやハワイといった特殊な地域でも美味しいコモデティコーヒーを栽培しています。

 

ブラジル

世界最大のコーヒー産出国がブラジルです。味の特徴はやわらかいコクと甘い香りです。
標高が比較的低い地域で栽培されており、国の一大産業でもあります。ブルボン種やムドノーボ種が主流で、クセがなく飲みやすいコーヒーが多いのも特徴です。

コロンビア

アラビカ種の生産量は世界1位なのがコロンビアです。マイルドでまろやかな味わいが特徴です。もともとはティピカ種が主流でした。現在ではカトゥーラ種の改良品種が主流になっています。

 

ホンジュラス

生産量5位のホンジュラスコーヒー最大の特徴はその「香り」です。ドライフルーツのような、さわやかで芳醇な風味とフルーティな酸味が特徴です。焙煎度合いによってさまざまな表情を見せるのもホンジュラスコーヒーの特徴でしょう。深焙煎するごとに酸味と苦味が強くなります。

グアテマラ

国土の大半が高原地帯であるためコーヒー栽培に適しているのがグアテマラです。味の特徴はフルーティで酸味がやわらかく、コーヒー全体のバランスが取れていることです。日本人にも人気のコモデティコーヒーが多いことでも知られています。近年はスペシャルティコーヒーの生産にも力を入れています。

コスタリカ

コーヒー協会(ICAFE:コスタリカコーヒー協会)がコーヒー農家を全面的にバックアップしており、カトゥーラ種などの良質なアラビカ種を生産しています。酸味とコクに優れ、香りの引きたっているコーヒーが多いのも特徴です。

ニカラグア

マラゴジッペという大粒な豆になる品種で有名なのがニカラグアです。酸味がすっきりしつつも甘みに優れ、後味に苦味もあるため全体的にバランスが取れているコーヒーです。品質が良くなるにつれ、フルーティーな香りと甘みが強くなります。

エルサルバドル

一時は生産量世界2位まで昇り詰めましたが、1980年に発生した内乱がきっかけで生産量を大きく落ち込ませることになったのがエルサルバドルです。内戦が終結し徐々にコーヒー産地として復活を遂げつつあります。

エルサルバドルコーヒーの特徴は飲みやすい酸味とすっきりとした甘みです。品種によってはキャラメルのような甘さを感じることもあり、コーヒーフリークからは高い評価を得ています。

パナマ

規模は大きくないものの、良質なコーヒー生産国として徐々に認知されはじめているのがパナマです。スペシャルティコーヒーの一角を担う「ゲイシャコーヒー」などが有名です。輪郭がはっきりしたさわやかな酸味とコク、コーヒー全体の調和に優れています。カトゥーラ種が主流ですが、最近ではティピカ種やブルボン種なども生産されています。

ペルー

コーヒー生産量ではTOP10の常連なのがペルーです。日本人好みのマイルドな味わいが人気のペルーコーヒー。軽めのコクと南米特有のナッツ感が特徴です。後味に甘みが広がることもペルーコーヒーの特徴です。

ドミニカ共和国

国をあげてコーヒー生産に力を入れているのがドミニカ共和国です。やわらかい香りと酸味、ソフトな味わいと全体的な調和が特徴です。イスパニョラ島北部の高地では有機栽培も行なわれています。

 

ハワイ

ブラジルから持ち込まれた説が根強いハワイコーヒー。現在の生産地はハワイ島のコナ地区です。火山地帯が多く、コーヒーの栽培は火山の斜面にそって行なわれています。ほどよいコクとクセのない味が特徴です。透き通るようなクリーンさも特徴といえるでしょう。アメリカの州であるため人件費が高く、高級品としても有名です。

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